「大学の怪談」第二幕・酷暑(夏)

標準

◎ 酷暑 ◎

 三日も経た。忘れたわけじゃないけれど、誰も事件について話をしない。千里さんの講堂に座り、授業をしている先生の疲れた顔を見ずに、ノートをとる。陽が酷くて、平たいテーブルに輝く。千里さんはどこかに座って、私を見ているかな。疲れて、授業に集中する以上考えることができない。最近とても疲れている。誰も気付いていないらしいが、学生は一人足らない。また真面目な学生の一人が消えている。その殺された学生の血まみれな体が近くにある。殺されても、授業を見逃せない。その死体に覆う血の匂いが嗅げる。陽に温められ、沸いて流れる。その流れ音が聞こえる。天井のどこかに隠してあるかな。なぜ、私はそんなことを知っている?ただの気のせいだろう…私は無意識に危機がそばにあると気付いている。壁の後ろに這い、私たちを狙う。その猛獣は私かもしれない。
 授業は終わると、私は講堂に残り、宿題を書きかける。勿論、講堂が空になると待っている。千里さんと話したい。彼女は何かを知っている。二番目…いゃ、三番目の被害者は私かもしれない…彼女かもしれない。
 十分待つと、講堂に私以外誰も残らない。「千里さん、いるんですか?」と私は聞く。「何…」と前回と同じ場所から返事を受ける。
 「おはようございます。」
 「おはようさん…」
 「また一人の学生が殺されたんですね。」
 「かもな…ほんで?心配しとるか?」と千里さんは興味のなさそうな声で聞く。
 「当たり前でしょう。千里さんは人殺しの正体はご存知ですか?」
 「ヒントを教えたってわ。この頃あて感じるのは妬みどっせ…」
 「ライバルを殺すというわけです。」と私は頷く
 「そや。気をつけなくちゃ。」
 「その人殺しは私ですか?」ととうとう聞く。
 少しの間の沈黙の後、「その質問の答え、自分で探してみい…」と千里さんは言う。
 翌日も、その翌日の翌日も私は千里さんと話をした。彼女はヒントを色々教えてあげるけれど、私はまだ自分にでも信用できるかどうか分からない。ややこしい。授業も段々難しくなり、私は懸命に勉強する。一つ間違いない。人殺しは私たちの中の一人で、成績が良い。眼鏡をかけて、いつも本を読む男の子かも知れない。授業中何度も質問を聞く女の子かも知れない。私かもしれない。あの窓のそばに座り、集中している人かも知れない。私はノートを書きながら、一瞬自分も座っている三例目の左端を見る。彼女は座って、穏やかに先生の話を聞く。彼女の顔にも皆のように疲労が見えるけれど、諦めそうもない。彼女の目は昼寝から起きた象の子の目のように、優しくて甘い。彼女は近くに隠れている危機に気付いていないだろう。
 五日後、遂に二番目の死体が発見された。行方不明で警察に捜されていたからではなく、腐っている匂いで発見された。素敵な女の子の腐っ
ている死体はね。警察は調査を一心に勧めるけれど、犯人は手がかりを一切も残していない。そう。頭のいい人で、こんなに早く捕まえられるわけじゃない。でも二番目の死体が発見されてから大学は警察で溢れてきた。大学の正面の前に鞄を調べられ、大学の何処でもカメラに映られている。面接に行かれる学生もいる。先生たちは授業で連続殺人事件について一文字も言わないが、警察と協力したら大丈夫だと学生たちを頑張らせる。二十日後とても大事な試験があるからだろう。
 犯人が捕まえられないかぎり、また高級学生が殺される。そく学生は私かも知れない。彼女かも知れない。終わらせてみせる…

続く…

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