『癌』: 第一章『前兆』/ 第二章『兆候』

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『癌』
 「先生、間違いありませんか?これは確実な診断ですか?」
 「はい。残念ながら、確実で…間違いは一切ありません…」
 マジ?
 
第一章『前兆』
 
 「…見える?ほら…これは口の癌だ。かわいそうだろう…おうとと…怒られちゃった…まあ、もともとニシキヘビは、照りやで、日の光で、人々に見られることは不愉快だろう。更に、癌の痛みで、そして多分悩みで神経が敏感になったんだ…このまま何も狩らないし、餌をやられても、噛めなくて、喰えないし…悲しい死を待つしかないだろう…いや、死がもう訪れている…この蛇は段々死につつあるんだろう…」とカメラに向いて、楽しそうに言ってから、男がニシキヘビを放した。
 ニシキヘビは怒っているのに、彼とカメラマンを襲わず、泥沼に入り消えた。怖くて、早く逃げたわけではなく、二人の男の態度にショックを受けたわけもなく、ただ悲しそうに、誰もいないところに行っただけだ。そのシーンを見ている人は、見破る目があれば、「絶望」という言葉を触れるだろう。私はテレビを常に見る人の◎に入っていない。むしろ全然見ない。店で並んでいるテレビの前を通るとき、偶然そのシーンを見、動物に興味があるから、一番画面の大きいテレビの前に数分止まり、苦しそうな蛇を見た。
 癌か…口の中に、何かが痛い…気のせいだ、アホ…

第二章『兆候』

 私は才能で溢れていると言えるようになりたい学生だ。そうだ。まだ学生だ。だが優れている学生で、どんどん影の中に進み、自分の偉さを楽しむ。変体趣味だって、自分でも分かってる。しかし、誰にもあるだろう。変わったところって。だからこそ人は人と違う。私も変った人で、山ほど知識を増やしたい。格好いいじゃない?
 私が学ぶのは何だと教えられない。しかし、その学科の礎は文字、つまり「漢字」だ。漢字は優れていることの鍵だ。でもね、誰にもこれだけの知識があるというわけではない。私はそれをお見通した。そう…そして懸命にそれを勉強したんだ。今でも、同じ。私はどんどん漢字や安部晴明しか読めない変な字を勉強する。偉いだろう。でも私は悲しい秘密…いや、悲しい事実を分かった。山ほど分かっている物事があっても、まだ山ほど分かっていない物事もある。パーフェクトになりたい人間は、罰として、一生もパーフェクトにならない。
 でもこんなことを見破っても、私はまだ知識の恐ろしさを分かっていなかった。分かったのはあの日からだ…あの店であのテレビであの蛇をあの番組で見てからだ。そう…呪いを掛けられてしまった…
 試験が始まるまであと一週間。頬がちょっと痛い…いや、重い…まさか、試験のストレス?なあに…私にとって水を飲むより容易い…教室に座って、文字を書いたり、覚えたりする。同時に書いて、覚えることが不可能だから。授業が始まるまで二十分もあるから、今日は本も四十ぺじ読めるんだ。ハハハ…自慢する馬鹿ども達め、私を超えてみ…
 「元気?」と言った元気な声が夢中に沈んでいた私を起きてくれる。この声の持ち主を紹介しょう。名前はルイズ。彼女は私が学ぶのと同じ学科を学ばない。この授業だけで一緒だ。グループでしなければならぬ宿題をグループでしてから、挨拶ぐらいの知り合いだ。彼女の声が好きだ。なぜだと聞くと、その声で「おお、お前はすごいじゃん」と励まされたからだ。凄いじゃん?
 授業中また何度も頬や歯が痛くしてるような感じがした。ぎりぎり… 別に耐えれぬ痛みじゃなかったが、何か心を重くならせるみたい。久しぶりの悪い予感…予感が嫌だ。覚えたくない思い出を目の前に並ばせる。二度とそんな過去を生きないように偉くなる。強くなる。なってみせる。安心せ、私の未来…そして覚悟しろ、ふざけやがる運命…
 次の授業でも、家に帰るときで、地下鉄の中でも、痛みを感じた。痛みと言えないけれどな。既に、絶えずな痛みだ。っていったい何なんだ。もしかしたら、歯が腐れて締まったかもな。家にたどり着くと、手や顔を洗ってから、口を開けて、その中を見る。暗い…何も見えない…
 懐中電灯を見つけなくて、マッチを付けて、口を燃やさないように気を付けながら、その中を照らして、見る。歯が真っ白だと言わないが、別に黒い苦しそうなところもない。指を燃やされ、マッチを消す。いらいらして、手で痛いところを見つけようとすると、唇が破っちゃい、血が出る。まったく、小さな痛みで冷静を失って、幻想の痛みを見つけるため、ほんまんの痛みを起こして、馬鹿じゃない…
 でも、何か妙に、この痛みは頭から離れない。夜食を取りながら、考える。もし口の癌なら、後どれくらい生きられる?どれくらい生きたい?死ぬまで苦しむ?段々死ぬんだ?じゃ、もし癌なら、私は今でも死につつある?死につつあるまま偉くなれる?死ぬことは必ず陥ることじゃないだろう…上に上るまま死んでいけないの?
 死にたくない…だって、あの時戻って生きると言われたじゃない…今更なにを…もしかして、生きる意志は寿命と逆関係があるの?そんな訳ないじゃん、皆生きたい、そして皆生きる…ちょっと疲れてるだけなんだ。口の癌って、若い私を襲うはずがないだろう。そうだ、この間勉強過ぎて、疲れてるだけだ…
 ルイズは看護婦になればいいな…(ツ)

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