標準

嫌だ。ぜったい嫌だ。眼を潰されるなんって。眼が魂の入り口だよ。言えば、眼こそが魂だよ。奪われて、たまるか?

その時、私はまだ知らなかった。現実に移るのは夢じゃなく、悪夢だって。人生は、避けたいものばかりの集まり…

ねえ、いまさら言っても、多分遅すぎるけど…

助けてくれない?

全てはその日から始まってしまった。あのおぞましい本を開いたとき、呪われたんだ。呪いは私の目の前に開いた。1ページだけ読んだのに。あいつはどのなりゆきに視覚を失ったのを書いていた。世界を二つに分かれ、永遠にも消えない赤い幕って。楽に髑髏の中に回らない駄目になっちゃった眼って。あんな変な言葉だったのに。どうしてもっと早く気付かなかった。いつも遅れてしまうんだ。

あれはとてつもない恐ろしい祟りだった。私の体が寒くなり、冷や汗をかいた。地下鉄は駅に止まった。振りながら、地下鉄を出て、椅子にたどり着けた。座ったことが覚えてないけど、目を覚ましたとき椅子に座るままで、顔が膝に付いていた。

間違いない。奴は目が眼が欲しくて、この本に呪いを掛けたんだ。絶対やらないと決めたが、それは充分ではないと夜になって分かった。眠る前に当然まだ怖かったが、心が段々収まらなかった。おまけに必死に叩いていた。説明できない体の動き。動物の勘が悪意を感じるからだろう。眠ると、それが分かった。違う、襲われなかった。奴の姿も見えなかった。夢も悪夢も見なかった。「では何?」それはね、赤かった。

真っ黒は赤い幕で二つに分かれていた。赤い幕は温かくて、塗るっていた。私の目を鮮やかな血が覆っていた。あいつの仕業。

ばか。どうせ私眠れないものよ。こんな手で、私の目を奪えると思った?やってみろ。だいたいね、私は嫌な夢を見るのは、ずっと昔からだよ。慣れてるんだ。悪いけど、お前の戦い方は私に効かない。

今日はすさまじいことに気付いた。私の視覚は弱くなっていく。どういうことなんだろう。授業で、いつもの席に座っていた。先生がいつものように黒板に書いていた。なのに私が読めなかった。あいつだ。でも、どうやって?

このまま盲人になってしまう。地下鉄を出て、路地に歩くと、鳩たちは私の目を襲う。下品な鳥め。風も私の顔を刺す。人たちまで。何回も知らない人の傘に目を千切られるところだった。早く反撃の準備をしないと。やつはあの本から出てきた。つまり、もしあの本を燃やしたら、奴にはもう行き場所がなくなる。でも、これで私の目は助かるわけじゃない。どうしよう?そうだ、それだ。本を誰かに渡すんだ。自分の鞄に見たこともない本を見つけたら、好奇心を持たないわけではない。でも、誰にわたそう?

昨夜、とっても嫌な夢を見た。忌まわしい過去のかけら。そういえば、思い出はどこに積もる?頭脳じゃない。心臓もじゃない。目なんだ。こんなに秘密が付いている目を奪われたら、終わりだ。目を奪われる余地がないんだ。私の最大の弱点を手に入れて、私を潰すはずだ。あいつめ。そうはさせない。

本を誰に渡すかとついに決めたんだ。下品な人なんだ。悔いは残らないだろう。でも、本をその人の鞄に捨てる前にためらった。もし、あいつはこの人と手を組んで、また私を狙ったら?そうなったら、奴は物理的な攻撃もできるようになる。あぶない、あぶない。止めといた。助けて。

奴は…近くにいるんだ。私の部屋の中に。奴の欲望を感じる。奴の関節の音が聞こえる。ずっと私の後ろに立っている。眠ってはいけない。

これで三晩も眠ってないんだ。体がボロボロで、弱みを骨まで感じる。頭の中の全部は血の沼になったような感じがして、目も明らかに暗くなっていく。このままもう続けないんだ。今晩終わらせて見せる。

◎◇●○◆◎●○▽

終わった。

私はめう何も見えない。自分の二つの目を焼いた。酷く痛かった。泣いたり、後悔したりするぐらい。でもその後、気を失い、自分に戻ったときもう痛みを感じなかった。神経は壊れたみたいね。天は助けてくれたんだ。自分に戻ってから、動かずにガラガラして、これからの人生に考えてみた。奴はもういない。私の目、そしてその目に付いている秘密は永遠にも奪われない。自分でそれを滅ぼしたから。そう考えて、そのまま寝た。楽な睡眠。なんっていい感じ。幸せ…

もう本を読んだり、黒板に書いてあることを書いとくことができないけど、今日は大学に行く。なぜって?それはね、全てが終わって、普通に戻ったことを自分に証明したい。

見えてる。奇麗。この女をどこで見たかな。ずっとずっと前に会ったことがあるような気がする。森の真ん中を歩く彼女を追いかけて、一生懸命覚えだそうとしている。彼女は地下に入った。この穴は知っている。私が昔想像していた穴だ。森の真ん中の安全な穴。誰も知らない誰も来ない穴。彼女が作ってくれたかな。とにかく私も穴に入って、地下に行った。いい場所じゃない。想像していたように、安全ということは感じられる。しみしみと。彼女はどこ?あっ、いた。あるホールに入ると、彼女はホールの向こうに立って、私を見ている。優しい目で。不快な音が聞こえる。メトロの音みたい。ホーンの音も聞こえてきた。なんなんだ?耳障り。消えろよ。あ、覚えだした。そうだ。この女は…

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