暗室

標準

著者 : サーでグ・へダーヤト

翻訳家 : 甘味屋

PDF: 暗室

レオナ~1

暗室

夜はカンサールへの道で我々の車に乗った男は体を慎重に紺色のオーバーコートに包み、長いエッジのシャポーをお凸まで下げていた。外の世界の流れや他人との関係を疎むように。一つの小包を手で保持していた。一緒に車に乗っていた三十分には、彼は運転手と他の乗客の会話にぜんぜん入らなくて、居心地を悪くしていた。車のライトか外の光が車の中を明るくしていた時、私は彼の顔を盗み見ていた。白くて淡い顔や小さくて細い鼻、疲れたように下がっている瞼。唇の周りに意志の強さや決断力を示す大きい皺があって、彼の頭は石で作られているように見えていた。

我々の車はカンサールで「マダニ」というガレージの前に止まった。夜中も走る予定だったのに、運転手と乗客が全員、車を降りた。私はそのガレージとそこにあった喫茶店のあまり手厚く見えない外見を見てから、車に向かって、「今夜はここに止まるそうですね?」と運転手に聞いて、確かめた。

「そうだ、できれば今夜をここに止まって、明日は朝早く出発するんだ」

ふと、体をオーバーコートに包んだ男が私に近づいて、「ここは適切な場所ではない。近くに予約したところか取り合いの家がないのなら、我が家にいらっしゃい」と小さくて冷静な声で言った。

「ありがたいことですが、邪魔をしてしまうつもりはありません」と私は答えた。

「私は遠慮が嫌いです。あなたを知らなくて、知りたくもありません。恩を売るつもりもありません。自分の理想の家を作ってから、前の家は使われずままです。喫茶店の部屋より居心地がいいと思います」

彼の紛れもない正直な口調に影響され、彼は只者ではないと分かった。「じゃ、遠慮しません」と言って、ためらわず彼に従った。彼はポケットから懐中電灯を出して、点けると、我らの前に光の柱が落ちた。いくつの路地や土の壁の間から通った。静かで、心が治まる気分になっていた。水の音が聞こえ、木の上に吹いていた春風が我らの顔を触ってきていた。遠くに二三軒の家の電気が輝いていた。しばらく、沈黙に歩いた。私は知らない友達を話させるため「奇麗な町でしょう」と発言した。

彼は私の声を怯えたようだった。そして少し迷ってから、小さい声で「私は見たイランの町の中に、一番好きなのはこのカンサールです。それは沢山の畑、園や水があるからではなく、自分の古い雰囲気を保存したからです。この曲がりくねった道、土で作られた家のすき間、そして穏やかな長い樹はその手厚くて親切そうなままです。おまけにここは外れたところで、歌っぽい雰囲気になっている。新聞、車、飛行機や鉄道はこの世紀の災いです。特に車はホーンを鳴らし、土や埃を飛ばして、運転手の弟子が田舎が恋しいと思ってしまいます。新時代に着いたばかりの馬鹿な考え方、美化のない思いや白痴な模倣がどこにでも突っ込んでしまったのです。」と彼は言って、懐中電灯で家の窓を照らして、「ほら、見えるんですか?あの石膏彫り…人は土のや刈られたばかりのアルファルファの匂いがします。晴明の忌まわしい匂いがします。セミや小さい鳥の鳴き声、そして昔っぽいの単純な村人の声が聞こえてきます。その全ては無くなってしまった昔の世界を思い浮かばせ、人を新時代に着いたばかりの者達の世界から離すのです。」と続けた。そして、私を誘ってくれたことを急に覚えだしたように「夜食は召し上がったんですか?」と聞いた。

「はい、ゴルパイエガンに停止したとき夜食を取りました。」

いくつの小川のそばを渡って、とうとう山の近くに彼はある庭のドアを開けた。我々は新築の建物の前に辿り着いて、折りたたみベッドが一つ、机が一つ、椅子が二つある小さい部屋に入った。彼はオイルランプを点けてから、別の部屋に行って、数分後、肉のような赤いパジャマを着ている様子で部屋に戻り、別のランプをも持って、点けた。そして、持っていたあの小包を開けて、赤いアバジュールを出して、ランプの上にに付けた。何かを迷っているように少し考えて、「私の部屋へいらっしゃいますか?」と私に言った。アバジュールの付けたランプを取って、壁が紫で、赤いカーペットが置いてある円筒の形に造られた狭い廊下を通って、彼はまたあるドアを開けると、我々はそのドアしか開口部が一切ない楕円形のホールに入った。そこはアングルや線などの建築の形がなくて、おまけに壁も、天井も、地面も赤いベルベットに覆われていた。空気に漂っている香りのせいでちょっと息が苦しくなった。彼は赤いランプをテーブルの上に置いて、ホールの真ん中にあるベッドの上に座り、私にテーブルのそばにある椅子を示した。テーブルの上にグラスが一つやデュッグ*の水差しが置いてあった。私は驚いて、壁や天井を見て、きっと精神病質者の殺人者の罠にはまってしまって、この真っ赤な部屋も彼の拷問室で、誰も被害者の助け呼びが聞こえないため開口部がないと思った。頭を何かに殴ってくるか、ドアが閉まって、彼は刃物で私を襲うのを待っていたが、彼は相変わらず冷静な声で、「私の部屋はどう見えますか?」と聞いた。

「部屋?とんでもない。私はプラスチックの袋に入った感じですよ」

彼は私の言葉に注目せずに、「私の食事は牛乳です。いかがなさいますか?」と言った。

「結構です。もう夜食を取っています。」

「牛乳が一枚悪くありませんよ」と彼は言って、水差しとグラスを私の前に置いた。食欲がなかったが、グラスを牛乳で満たし、一枚飲んだ。その後、彼は飲み始めて、ゆっくり牛乳を少しずつ飲んで、唇の周りをも舐めていた。何か思い出でもを思い出そうとしているようだった。彼の若くて淡い顔、小さくて細い鼻、赤くて肉っぽい唇が赤い光に魅力に見えていた。彼の広いお凸に膨れた赤い血管が見えていた。彼はマルーン色の髪が肩に落ちていて、自分と話すように話しだした。

「私は他人の喜びをシェアすることがなくて、いつも何か不幸か苦痛が妨げるのだ。人生の痛み、物事の形の痛み。でもそれより苦しいのは、他人と関係を持つことだ。腐った社会の邪悪、服や食べ物の邪悪、その全ては我ら人間の悟ることの邪魔をしている。昔彼らの中に入ったことがある。他人のように生きようとしたが、自分をふざけているだけたということに気付いた。他人が楽しめる物事を試したが、他人の楽しみは私に似合わないことが分かった。私はいつもどこにでも異邦人で、他の人と関係を持てないと感じて、いつかこの社会を逃げて、ある村か遠い場所に住むと自分に言い続けた。ども孤独を自分の特殊にして、自慢したり、誇ったりするつもりがなかった。私は自分を他人の考えの奴隷にしてしまうこと、それとも他人の考えを模倣することが嫌だった。とうとう、自分の好きな住み場所を造ると決めた。自分の中にいて、考えがバラバラにならない場所。私は怠け者に作られたんだ。苦労と努力は空しい人のすることだ。そうして、自分を満たすつもりだろう。貧乏な物乞いども。しかし私の空しい先祖どもはずいぶん働いて、ずいぶん頑張って、考えて、物事を見て、少しも怠けた。その怠けは全て私が相続した。私は先祖を誇らない。特にこの国では貴族が存在しなくて、どんなプリンスや金持ちの家系を調べても、結局その先祖の一人が泥棒、山賊、それとも宮廷の道化師だってことが分かるのだ。それに、先祖を誇りすぎて、前に戻ったら、ゴリラやサルに辿ってしまうだろう。だが、私は働くために作られていなかった。新時代に着いたばかりの人たちは自分の欲望や好みによって作ったその社会だけに目立つことができて、他の人も生活のわずかのところにも彼らのでたらめな規則をカプセル剤のように飲まなければならないようになっている。この奴隷制を労働と呼んで、誰もが自分の生活権を彼らに乞わなければならないと言っている。あんな環境に偽善者や泥棒、恥知らずのアホしか生活できなくて、そういう人ではない人たちが生活できない人だと言われている。私の背中を曲げてしまった相続の重みや私の苦痛を彼らは理解できないのだ。我が先祖どもの疲労が私に重なり、その過去の懐かしさを自分の中に感じていた。冬眠する動物のように穴の中に潜り、暗闇に浮いて、一人で自力で生きていきたかった。なぜなら暗室だけで現れる写真のイメージのように、人間の中に隠れた微妙なものも生活の労働や騒ぎで消えてしまい、沈黙と暗闇の中には現れているのだ。その暗闇は既に自分の中にあり、最初から探す必要がなかった。悔やむのはしばらく他人に従ったことだけだ。今は自分の大切なところはこの暗闇や沈黙こそだということが分かっている。どんな生き物の中にもこの暗闇があるはずだが、外側の世界を離れて、自分に戻るときしか、見えていない。でも、人たちはこの暗闇を逃げて、死の鳴りを聞こえないため手で耳を塞いで、自分を世界の騒ぎの中に惨めにしてしまいたがっているのだ。宗教者達のように真実の光は自分の中にぴかぴかしてくることを祈るのではなく、私は魔王の暗闇が下さるのを待っている。いるままと同じく自分の中に悟りたいのだ。私は知識人の輝く空しい金言を忌んで、泥棒やアホの欲望によって作られたこの生活に必要な物を得る為、自分の独立を失っては嫌だ。この部屋だけには生命力が無駄にならないように自分の中に生きることが出きるのだ。この暗さと赤い光は私に必要で、後ろに窓がある部屋にいられない。考えや思想は窓から飛んでいくように。それに光を好まない。日の下に全てが平凡で無味になってしまうのだ。恐怖と暗闇は美貌のもとである。日に平凡である猫が夜は闇の中に目が輝いて、毛がピカピカして、動きが神秘的になる。日に惨めで、蜘蛛の巣に覆われている花が夜は秘密に囲まれているように見えて、特別な意味をする。夜にはどんな平凡なものも新しい意味や秘密を持って、眠っている恐怖が全て目を覚ましてしまう。その暗闇の中に人が眠っているけれど、ちゃんと聞こえる。言えば、人こそが起きていて、真の生活が始まる。もう生活の賤しい渇望がなくて、魂の望む方へ進み、覚えだせなかったものを覚えだす。」

そんな演説を話して、彼はまた無口になった。そんなことを言って、自分の無罪を証明したかったようだった。この人は生活を飽きたただの金持ちの小僧だったか、それとも奇妙な精神病に患っていた。とにかく普通の人のように考えていなかった。私は何を答えればいいのか分かっていなかった。彼の顔が妙になって、唇のそばの皺がもっと深まり、お凸にもう一つの赤い血管が膨れていた。話すとき、彼の鼻翼が震えて、顔の淡さが赤い光に寂しそうに見えていた。ろうで作られた頭のようで、車に見た頭と違っていた。顔を下げるとき、はかない微笑が口に表れていた。ふと気付いたように、その時までの目と違って、嘲る目で私を見て、「旅の人で、疲れていますね。私はべらべら自分のことだけを話してしまって…」と言った。

「誰も自分のことだけを話すのですよ。誰にとっても、真実はその人の真実です。我ら人間は無意識に自分のことだけを話して、別のことを話すときも、また自分のことを他人の舌で話すだけなのです。一番難しいことは本当にある真実を言うことだと思います」

すぐ自分の答えを後悔した。意味がなければ、関係もない答えだったから。何かを言いたかったのか、曖昧だった。しかし彼は私の答えに注目せずに、ただ数秒わたしを苦しそうな目で見て、また瞼が下がった。わたしに気付いてなく、別の世界にいるように、舌で唇を舐めていた。

「私はいつも自分の好みによって、愉快なところを造りたかった。他人が造ったところは私に似合わっていなかったから。私は自分の中に住みたかったのだ。その為に持っている者を全て金に代えた。ここに来て、この部屋を自分で造った。わずかな細部までも自分で考えて造った。欠いていたのはこの赤いアバジュールだけ。大きさとデザインをテヘランにある店に注文して、とうとう作ってもらい、持ってきた。その為なければ、この部屋を出て、他の人と言葉を交わさないのだ。食事は牛乳を飲むたげにした。どんなポジションにも飲めて、他人に頼る必要がないから。持っている牛乳の仕入れが終わると、自殺してしまうと決めている。今夜は自分の家に寝られる最初の夜だ。私は夢に辿った幸せな人なのだ。幸せな人。想像するだけは難しいのに。想像もできていなかったのに、今は幸せだ。」

と、また沈黙が流れた。私は沈黙を崩すため、話し出した。

「あなたが目指している状況は子宮にいる胎児です。頑張らず、悩みもあらず、暖かくて柔らかい、そして赤い袋に寝て、徐々に母の血を舐めて、欲しいものを全て得る胎児。これはどんな人間の中にもあるその懐かしい極楽の恋しい感じです。人間は自分の中に住んでいるのだ。それは無意識に決めた死かも知れない。」

彼は自分の独り言に誰かが邪魔をするのが意外だったようで、「あなたは旅の人で、疲れたのですよ。どうぞ、お休みになってください。」と私に言った。ランプを手に取って、私を廊下へ、そして最初に入った部屋に案内した。夜中過ぎで、空に星が輝いていた。私は不快の陰窩を出たように、その鮮やかな空気を深呼吸して、「私が出会った人は狂った強迫性障害者なのか?それとも凄い人なのか?」と思った。

翌日は、十時に起きた。宿主に感謝するため、境内に入る異邦人のように穏やかに廊下を通って、彼の部屋のドアにノックをした。廊下は暗くて、沈黙に沈んでいた。恐る恐る彼の部屋に入った。テーブルの上にオイルランプが点けていた。宿主は肉色のパジャマを着たまま手で顔を隠し、足を腹の前に曲げて、母の子宮にいる胎児のようになって、ベッドに寝ていた。前に進んで、彼の肩を振ったが、彼はそのポーズに固まっていた。怖くて、早くそく部屋を出て、ガレージに向かった。車に乗り遅れたくなかったから。彼が言っていた牛乳の仕入れがもう終わっていたかな?それとも賛美している孤独を怯えて、最後の夜は一人さえにそばにいてもらいたかったかな?または、本当の幸せな人で、その幸せを永遠に自分だけの物にしたくて、その部屋も彼の理想の部屋だったかも知れない。

おしまい

説明

* ヨーグルトで作るイランの伝統的な飲み物。この飲み物は真っ白で、見るだけでは牛乳と区別できないのだ。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中