第三章『症候』
私はよく分かってる。もうすぐ死ぬって。医者に診られたくない。だって、馬鹿じゃない?病院へ行って、「私は口の癌に死ぬかどうかを確かめてください…」と言うなんって。それに、そうしたら、自分でこの問題を想像から現実に移したということじゃない?無視したほうがいい。でも痛い…確かに口の中に何かが痛い。これは現実だろう、ボケ。
今日は試験が始まる日…大丈夫。できる。
できた。最初の試験がよくできた。
でも、昼食を取るとき、口が非常に痛かった。何も食べられなくなってしまいたくない。これってあの蛇と一緒じゃん…それに…手を洗うとき、大学のトイレの鏡に己の顔を見ると、頬が確かに腫れていた。嫌だ。昨夜インターネットで口の癌について調べようとした。治療法方なんか見つけず、病気の写真を見ることしかできなかった。恐ろしい…なんで私?口の癌に襲われる人は偶然に選ばれるの?それとも…今日はルイズに訪ねてもらった。
試験が終わってから、図書室へ行き、漢字の復習を始めた。そこでルイズが現れた。そして…
「…試験に忙しいって分かってるけど、この記事を翻訳してくれる?この翻訳を宿題に入れなければならなくてね…宿題の締め切りは最後の試験が終わるまで(オイオイ、後6日間しかないじゃん…)だけど…」
「いいよ。安心して。」とどんと答えてしまった。嬉しい。これは才能で溢れている人を襲う問題だ。でも私の嬉しさの理由はこれではない。続けなくても、分かるだろう?
面白いテキストだ。何についての記事なのかは教えられない。彼女の秘密だろう。私は彼女の秘密を守る。自分の秘密も自分で守る。私の心は秘密の海だ。その海岸に滅びられた希望や夢の遺跡が山ほどある。観る目があれば、厳かな景色だ。しかし秘密の海が広がれば、広がるほど海岸も広くなる。更に新しい偉い建物がいくらでも造られる。いい翻訳ができる。別に試験の復習の邪魔もじゃない。問題は時間だ。足りなかったらどうしよう。約束したんだよ。
今日はいらいらさせる痛みはマジで我慢できない痛みに移した。その証拠は私の腫れた左頬だ。何って恐ろしい…もう迷う余地はない。口の癌で決まってるじゃん。私はまだ若いのに…誰かが私に呪いを掛けたんだ。今もどこかの寺で座り、祟りの言葉を呟く。私は敵が多い…見方がなし…ルイズの宿題の締め切りまで、後4日かん…
今日は三つもの試験を受けた。取れるノートのベストを取ったと言えないが、ベストを尽くした。そして決めたんだ。明日の午後(鶏の時)歯医者の医院へ行こう。勿論癌は歯医者と関係ない。けれど、歯医者でも口の癌を確かめられるだろう。歯を訳にして、癌を診させる。よし…後2日間だな…
第四章『診断』
試験が終わったとき、すでに日が暮れていた。私の人生のように…私の希望のように。バスに乗り、歯医者の医院に向かった。本を読もうとしたが、頭が色んな考えで溢れ、本に集中できず、ただ字を見ていた。
何時後霧が消え、事実がはっきり見えるんだ。雨が降ってくれるときのように。本を閉めて、窓から外を見る。夕暮れの景色が好き…
バスの中でいる人々はだいたい老人だ。私は老人が嫌いなんだ…昔からだ。老いることも嫌いだ。このバスはまるで黄泉の国へ行っている。運転手は死神のアズラーイールだろう。淋しい雰囲気だ。爺婆達も何も言わなくて、沈黙の泉だ。心が握られるみたいな感じだ。死の匂いがする。婆しか使わない香水の匂い…爺の口しか出ない腐れた胃袋の匂い…私の癌の匂い…別に、怖くない…ちょっと淋しい…
違う。アズラーイールは運転手じゃなかった。私の席の前の席の向こうの席に座っている婆だった。婆はが苦しそうに立ち上がる。私を見る。私に向かっている。婆は体全部揺れてるのに、目がじっと私を見る。怖い目だ。私は血が凍る。何かを求める目だ。やらなければならない物を欲しがっている目…この目は間違いなくアズラーイールの目だ。鬼じゃなかったか?幽霊じゃなかったか?アズラーイールの恐怖ってこれだったのか?私の方に手を伸ばす。その手が揺れている。揺れば揺れるほど私の心を揺らせる。私はつい泣きたくなる。冬の風で揺らせられる枯れ枝のような手だ。助けて…
神様よ…お許しください。助けてください。いかしてください…いや、違う。私は悪かった。罰をもらわないかぎり、いい子に戻らない。いい子に戻りたい。神に好かれたいんだ。全て受けるから、また私を愛しください。私だけの神様よ。
婆は私のそばにあるボタンを押す。バスは数分後止まる。婆は鈍くバスを降りる。私は左目から涙が一滴流れて落ちる。バスの窓から外がはっきり見えない。バスも泣いているみたい。いや、外は雨が降る。冬なのに春雨だ。
バスを降りると、医院に辿りつくまで雨にぬれぬれになっちゃった。気持ちがよかった。痛みも悩みも罪もその全ては雨に洗われてしまった。これこそが神だ。医院にたどり着いた時ちょっど約束の時間で、すぐ歯医者さんの部屋に案内された。私が二年前からも知っている歯医者で、優しい人だ。だからこの歯医者と見られたかもしれない。悩みは癌なのに。先生といろいろについて元気に話して、最後に歯を奇麗にしてもらった。
「もっと早く来ればよかったのに…よく我慢してきたわね。この腫れた歯肉は…膿瘍なのよね…」
「へえ?膿瘍ですか?」
「そうよ。」
「先生、間違いありませんか?これは確実な診断ですか?」
「ええ、残念ながら、確実で…間違いは一切ないわ…」
マジ?
第五章『おしめ』
今日は偶然、面白い漢字見つけたんだ。
ワードで「時」を書こうとすると、「痔」が現れた。寺は病気の原子の下に…ひょとして寺の病気?坊主見たいになるように禿げるという病気?いゃまさか、これはきっと文化に関係するんだ。そうだな、たとえば、「詩」は寺の言葉だよな。というわけでもしかして、「痔」は勉強過ぎるという意味なの?かっこういいじゃない、これこそが知人の病気だ。念のためグーグルイメージで調べて見よう。安部晴明の似顔が出るだろう…
…
勘弁して欲しい…我が意地悪の運命…
…
「さび」ってなんだろうな…分からなかっただろう。