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『癌』(終) :第三章『症候』/ 第四章『診断』/ 第五章『おしめ』

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第三章『症候』

 

私はよく分かってる。もうすぐ死ぬって。医者に診られたくない。だって、馬鹿じゃない?病院へ行って、「私は口の癌に死ぬかどうかを確かめてください…」と言うなんって。それに、そうしたら、自分でこの問題を想像から現実に移したということじゃない?無視したほうがいい。でも痛い…確かに口の中に何かが痛い。これは現実だろう、ボケ。

今日は試験が始まる日…大丈夫。できる。

できた。最初の試験がよくできた。

でも、昼食を取るとき、口が非常に痛かった。何も食べられなくなってしまいたくない。これってあの蛇と一緒じゃん…それに…手を洗うとき、大学のトイレの鏡に己の顔を見ると、頬が確かに腫れていた。嫌だ。昨夜インターネットで口の癌について調べようとした。治療法方なんか見つけず、病気の写真を見ることしかできなかった。恐ろしい…なんで私?口の癌に襲われる人は偶然に選ばれるの?それとも…今日はルイズに訪ねてもらった。

試験が終わってから、図書室へ行き、漢字の復習を始めた。そこでルイズが現れた。そして…

「…試験に忙しいって分かってるけど、この記事を翻訳してくれる?この翻訳を宿題に入れなければならなくてね…宿題の締め切りは最後の試験が終わるまで(オイオイ、後6日間しかないじゃん…)だけど…」

「いいよ。安心して。」とどんと答えてしまった。嬉しい。これは才能で溢れている人を襲う問題だ。でも私の嬉しさの理由はこれではない。続けなくても、分かるだろう?

面白いテキストだ。何についての記事なのかは教えられない。彼女の秘密だろう。私は彼女の秘密を守る。自分の秘密も自分で守る。私の心は秘密の海だ。その海岸に滅びられた希望や夢の遺跡が山ほどある。観る目があれば、厳かな景色だ。しかし秘密の海が広がれば、広がるほど海岸も広くなる。更に新しい偉い建物がいくらでも造られる。いい翻訳ができる。別に試験の復習の邪魔もじゃない。問題は時間だ。足りなかったらどうしよう。約束したんだよ。

今日はいらいらさせる痛みはマジで我慢できない痛みに移した。その証拠は私の腫れた左頬だ。何って恐ろしい…もう迷う余地はない。口の癌で決まってるじゃん。私はまだ若いのに…誰かが私に呪いを掛けたんだ。今もどこかの寺で座り、祟りの言葉を呟く。私は敵が多い…見方がなし…ルイズの宿題の締め切りまで、後4日かん…

今日は三つもの試験を受けた。取れるノートのベストを取ったと言えないが、ベストを尽くした。そして決めたんだ。明日の午後(鶏の時)歯医者の医院へ行こう。勿論癌は歯医者と関係ない。けれど、歯医者でも口の癌を確かめられるだろう。歯を訳にして、癌を診させる。よし…後2日間だな…

 

第四章『診断』

 

試験が終わったとき、すでに日が暮れていた。私の人生のように…私の希望のように。バスに乗り、歯医者の医院に向かった。本を読もうとしたが、頭が色んな考えで溢れ、本に集中できず、ただ字を見ていた。

何時後霧が消え、事実がはっきり見えるんだ。雨が降ってくれるときのように。本を閉めて、窓から外を見る。夕暮れの景色が好き…

バスの中でいる人々はだいたい老人だ。私は老人が嫌いなんだ…昔からだ。老いることも嫌いだ。このバスはまるで黄泉の国へ行っている。運転手は死神のアズラーイールだろう。淋しい雰囲気だ。爺婆達も何も言わなくて、沈黙の泉だ。心が握られるみたいな感じだ。死の匂いがする。婆しか使わない香水の匂い…爺の口しか出ない腐れた胃袋の匂い…私の癌の匂い…別に、怖くない…ちょっと淋しい…

違う。アズラーイールは運転手じゃなかった。私の席の前の席の向こうの席に座っている婆だった。婆はが苦しそうに立ち上がる。私を見る。私に向かっている。婆は体全部揺れてるのに、目がじっと私を見る。怖い目だ。私は血が凍る。何かを求める目だ。やらなければならない物を欲しがっている目…この目は間違いなくアズラーイールの目だ。鬼じゃなかったか?幽霊じゃなかったか?アズラーイールの恐怖ってこれだったのか?私の方に手を伸ばす。その手が揺れている。揺れば揺れるほど私の心を揺らせる。私はつい泣きたくなる。冬の風で揺らせられる枯れ枝のような手だ。助けて…

神様よ…お許しください。助けてください。いかしてください…いや、違う。私は悪かった。罰をもらわないかぎり、いい子に戻らない。いい子に戻りたい。神に好かれたいんだ。全て受けるから、また私を愛しください。私だけの神様よ。

婆は私のそばにあるボタンを押す。バスは数分後止まる。婆は鈍くバスを降りる。私は左目から涙が一滴流れて落ちる。バスの窓から外がはっきり見えない。バスも泣いているみたい。いや、外は雨が降る。冬なのに春雨だ。

バスを降りると、医院に辿りつくまで雨にぬれぬれになっちゃった。気持ちがよかった。痛みも悩みも罪もその全ては雨に洗われてしまった。これこそが神だ。医院にたどり着いた時ちょっど約束の時間で、すぐ歯医者さんの部屋に案内された。私が二年前からも知っている歯医者で、優しい人だ。だからこの歯医者と見られたかもしれない。悩みは癌なのに。先生といろいろについて元気に話して、最後に歯を奇麗にしてもらった。

「もっと早く来ればよかったのに…よく我慢してきたわね。この腫れた歯肉は…膿瘍なのよね…」

「へえ?膿瘍ですか?」

「そうよ。」

「先生、間違いありませんか?これは確実な診断ですか?」

「ええ、残念ながら、確実で…間違いは一切ないわ…」

マジ?

 

第五章『おしめ』

 

今日は偶然、面白い漢字見つけたんだ。

ワードで「時」を書こうとすると、「痔」が現れた。寺は病気の原子の下に…ひょとして寺の病気?坊主見たいになるように禿げるという病気?いゃまさか、これはきっと文化に関係するんだ。そうだな、たとえば、「詩」は寺の言葉だよな。というわけでもしかして、「痔」は勉強過ぎるという意味なの?かっこういいじゃない、これこそが知人の病気だ。念のためグーグルイメージで調べて見よう。安部晴明の似顔が出るだろう…

勘弁して欲しい…我が意地悪の運命…

「さび」ってなんだろうな…分からなかっただろう。

『癌』: 第一章『前兆』/ 第二章『兆候』

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『癌』
 「先生、間違いありませんか?これは確実な診断ですか?」
 「はい。残念ながら、確実で…間違いは一切ありません…」
 マジ?
 
第一章『前兆』
 
 「…見える?ほら…これは口の癌だ。かわいそうだろう…おうとと…怒られちゃった…まあ、もともとニシキヘビは、照りやで、日の光で、人々に見られることは不愉快だろう。更に、癌の痛みで、そして多分悩みで神経が敏感になったんだ…このまま何も狩らないし、餌をやられても、噛めなくて、喰えないし…悲しい死を待つしかないだろう…いや、死がもう訪れている…この蛇は段々死につつあるんだろう…」とカメラに向いて、楽しそうに言ってから、男がニシキヘビを放した。
 ニシキヘビは怒っているのに、彼とカメラマンを襲わず、泥沼に入り消えた。怖くて、早く逃げたわけではなく、二人の男の態度にショックを受けたわけもなく、ただ悲しそうに、誰もいないところに行っただけだ。そのシーンを見ている人は、見破る目があれば、「絶望」という言葉を触れるだろう。私はテレビを常に見る人の◎に入っていない。むしろ全然見ない。店で並んでいるテレビの前を通るとき、偶然そのシーンを見、動物に興味があるから、一番画面の大きいテレビの前に数分止まり、苦しそうな蛇を見た。
 癌か…口の中に、何かが痛い…気のせいだ、アホ…

第二章『兆候』

 私は才能で溢れていると言えるようになりたい学生だ。そうだ。まだ学生だ。だが優れている学生で、どんどん影の中に進み、自分の偉さを楽しむ。変体趣味だって、自分でも分かってる。しかし、誰にもあるだろう。変わったところって。だからこそ人は人と違う。私も変った人で、山ほど知識を増やしたい。格好いいじゃない?
 私が学ぶのは何だと教えられない。しかし、その学科の礎は文字、つまり「漢字」だ。漢字は優れていることの鍵だ。でもね、誰にもこれだけの知識があるというわけではない。私はそれをお見通した。そう…そして懸命にそれを勉強したんだ。今でも、同じ。私はどんどん漢字や安部晴明しか読めない変な字を勉強する。偉いだろう。でも私は悲しい秘密…いや、悲しい事実を分かった。山ほど分かっている物事があっても、まだ山ほど分かっていない物事もある。パーフェクトになりたい人間は、罰として、一生もパーフェクトにならない。
 でもこんなことを見破っても、私はまだ知識の恐ろしさを分かっていなかった。分かったのはあの日からだ…あの店であのテレビであの蛇をあの番組で見てからだ。そう…呪いを掛けられてしまった…
 試験が始まるまであと一週間。頬がちょっと痛い…いや、重い…まさか、試験のストレス?なあに…私にとって水を飲むより容易い…教室に座って、文字を書いたり、覚えたりする。同時に書いて、覚えることが不可能だから。授業が始まるまで二十分もあるから、今日は本も四十ぺじ読めるんだ。ハハハ…自慢する馬鹿ども達め、私を超えてみ…
 「元気?」と言った元気な声が夢中に沈んでいた私を起きてくれる。この声の持ち主を紹介しょう。名前はルイズ。彼女は私が学ぶのと同じ学科を学ばない。この授業だけで一緒だ。グループでしなければならぬ宿題をグループでしてから、挨拶ぐらいの知り合いだ。彼女の声が好きだ。なぜだと聞くと、その声で「おお、お前はすごいじゃん」と励まされたからだ。凄いじゃん?
 授業中また何度も頬や歯が痛くしてるような感じがした。ぎりぎり… 別に耐えれぬ痛みじゃなかったが、何か心を重くならせるみたい。久しぶりの悪い予感…予感が嫌だ。覚えたくない思い出を目の前に並ばせる。二度とそんな過去を生きないように偉くなる。強くなる。なってみせる。安心せ、私の未来…そして覚悟しろ、ふざけやがる運命…
 次の授業でも、家に帰るときで、地下鉄の中でも、痛みを感じた。痛みと言えないけれどな。既に、絶えずな痛みだ。っていったい何なんだ。もしかしたら、歯が腐れて締まったかもな。家にたどり着くと、手や顔を洗ってから、口を開けて、その中を見る。暗い…何も見えない…
 懐中電灯を見つけなくて、マッチを付けて、口を燃やさないように気を付けながら、その中を照らして、見る。歯が真っ白だと言わないが、別に黒い苦しそうなところもない。指を燃やされ、マッチを消す。いらいらして、手で痛いところを見つけようとすると、唇が破っちゃい、血が出る。まったく、小さな痛みで冷静を失って、幻想の痛みを見つけるため、ほんまんの痛みを起こして、馬鹿じゃない…
 でも、何か妙に、この痛みは頭から離れない。夜食を取りながら、考える。もし口の癌なら、後どれくらい生きられる?どれくらい生きたい?死ぬまで苦しむ?段々死ぬんだ?じゃ、もし癌なら、私は今でも死につつある?死につつあるまま偉くなれる?死ぬことは必ず陥ることじゃないだろう…上に上るまま死んでいけないの?
 死にたくない…だって、あの時戻って生きると言われたじゃない…今更なにを…もしかして、生きる意志は寿命と逆関係があるの?そんな訳ないじゃん、皆生きたい、そして皆生きる…ちょっと疲れてるだけなんだ。口の癌って、若い私を襲うはずがないだろう。そうだ、この間勉強過ぎて、疲れてるだけだ…
 ルイズは看護婦になればいいな…(ツ)